『お客さん!どうですか?このお部屋!!』

俺は最高にいい人生を歩んだだろう。

そして、最高の東京デビューを果たしただろう。

最後に、とても良い不動産のお兄様に出会えただろう!

トイレ付き、台所付き、風呂付、押し入れ着き、洗面所付き!

それらを会わせて月額、5万円!!

詐欺レベルと言えるくらい、その部屋は安かった。


『本当にこの部屋!!5万円でいいんですか!?』

『いいに決まってるじゃないですか!!はっは☆』

なんか、喋り方がムカつくからぶん殴りたかったが、いい部屋を紹介されているので
今は忍耐だ。

『しかし、この部屋で5万円とは………。』

俺は、まだ浮かれてはいたが、少し不安にもなった

『この部屋、人が死んでたりしてませんよね?』



2分後



『大丈夫ですよ!そんな事一切ありませんから!!』

さっきの2分はなんだろう?

え?

なんだろう?

俺は、ますます不安が絶頂期に上がってきた

『あの…………。』

俺は、少し元気のない声で不動産のお兄さんに質問した。

『はい?どうなされましたか?』

相変わらず、甲高い声で笑顔で返してくる。

それはなんだか、あの夢の国の黒ネズミに似ているような気がした。

その黒ネズミであろうが、構わず追い打ちをかけるような言葉を言った。

『ちょっと部屋を調べさせてもらってもよろしいですかね?』

不動産のお兄さんは無言だった。

やはり、このマンションには何かがある。と思った

俺は、返事が返ってくる前にこの部屋の押し入れなどを調べた、

しかし、何もなかった。

俺の思い違いなのだろうか。

『それでは、この部屋にお決まり致しますでしょうか?』

俺は、さっきまでの浮かれは一切断たれたが、

家賃も安いし、とりあえず承諾した。

不動産屋さんは、ものすごくホッとしていた。

『いやー。なん……か……こ…厄介部屋が売………よかった………』



ん!?今こいつなんつった!?

え!?こいつ今なんつったの!?

『それでは、契約書にサインはもらいましたので、お荷物は後日でよろしいですね。』

不動産屋さんが玄関に向かって歩き出した

おいちょっと待て、まだ返事さえしてねえじゃねえか。

俺は、開けた押し入れの壁の端っこを見た

何かがはがれかけていた

引っ張ると、壁の裏には御札が貼られていた


俺は、ベランダに置いてあった植木鉢を持ちあげ、玄関まで歩き、

不動産のクソ野郎の頭に振りおろそうとした

がっ!!不動産のサノバビッチ野郎はかわして、エレベーターに向かって走りだした。

俺は、植木鉢を床に置いた後、

不動産のビッチ野郎に向かって、3歩走った後ライダーキックをお見舞いした。

『そげぶっ!!』

不動産のショッカー野郎はその場に倒れた。

俺は、不動産☆ショッカーの足を足で固めて、動けないようにした


『えっ!?何あれ!?んん!?あれは何かな!?説明しなかったら

殺すよ!?

おじさん、笑いながら殺しちゃうよ!?』

不動産屋は、半ば泣き顔で、必死に命乞いをした

『すいません!ごめんなさい!ごめんなさい!勘弁してください!』

説明しなかったので、足をありえない方向に倒そうとした。

『ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!』

不動産屋の叫び声が快感だった

ようし!もう少し倒そう!と俺は思った。

そして、実際倒した。

『ごめんなさい!ごめんなさい!もう家賃5万とか言いませんから!!無料でいいですから!だから勘弁して
ください!!お願いします!!』







この部屋は俺の東京生活の第一歩となるのだった。

決して、無料という言葉に騙されたのではない。

いいや、断じて違う。

俺は負けたのだ

あの不動産屋の熱意には。



2日後、荷物運びはとりあえず終了した。

そして、この部屋が完全に俺の部屋になった時に、

大家さんが現れた。

そういえば大家さんに会うのは初めてだった。

『こんにちは。』

大家さんは、良い男だった。

いや、決して俺はホモではないぞ。それだけは言っとこう。

決して掘るとかいう真似はしないからな。

大家さんは、30代前半という結構若い感じだった。

『どうも、はじめまして。今日、この部屋でお世話になる
乃村 霧元と申します。』

とりあえず、俺は初対面である為初対面らしく行動した。

引っ越しという時には、まず最初が肝心である。最初の時のイメージが悪かったらその悪いイメージが
まとまり疲れる事があるかも知れな

『どうも。大家の神山修羅です。』

名前が修羅の人はありきたりとも思えたし、珍しいとも思えた。

というか、息子の名前を『修羅』という嫌な言葉にした親の顔が見たい

『あの……。本当にこの部屋に住むつもりですか……?』

大家さんは、心配そうに俺を見ていた。

どうやら、俺は騙されたと勘違いされているらしい。

『大丈夫っすよ。俺、もう高2っすよ。バイト、バリバイリしますよ。なんたって家賃無料ですからね!』

大家さんは、さらに曇った表情をした。

さすがに無料はひどかったか。

『何じか、変な事があったら遠慮せずに報告してほしい。慰謝料もちゃんと払うからね。』

逆だった。 さすが太っ腹大家!

何かあったらすぐにネタにして金を引きずり出してやろうかしら。

大家は、少し、悲しそうな顔をしていた。

この部屋がいわくつきなのは知ってるが、まぁ当り前なのだろう。

『君には……話した方が良いかもしれないな……。この部屋の事』

大家は、僕に近づいて来た

『この部屋は……昔………』

やばい、このままだと大家がこの植木鉢につまづいてしまう!!

どうって事なさそうだが、これで怪我をしたら大変だ。慰謝料が減金される可能性がある

俺はその植木鉢をベランダの外に放り投げた。

下で

『キャン!』

という声が聞こえたが、特に気にしなかった。

大家の話は、長くて聞いてられなかった為。

『なるほどなるほどなーるほどー。』

と頭を下げては上げてはの繰り返しで応答した

気がついたら夜になっていた。

明日は、日曜日であるため、布団を出そうと思った。

よし、明日は一日中寝てよう。

んで、押し入れあけると御札が見えます。

『うわぁ!!』

俺は、前にも見たはずなのにビックリして膝がついた

とりあえず、その御札が怖いから隠そうと思ったが、

そういえば、壁紙もなければコピー用紙もなかったので、

トイレットペーパーで巻いた

しかし、これでは多分怒られると思うので、

御供えとしてレトルトカレーの箱から出した奴を御供えとして出した。

これで一安心だろう。なんたってレトルトカレーは美味いからな!!

そして、俺は布団を敷き、寝た








誰かの息遣いで目が覚めた

目を開けると、部屋の隅っこに何かがいた

俺は後悔した。

やっぱ買わなければよかった!!

しかし、無料という言葉で、その判断を曇らせた。

幽霊だ!!とは自分でも思っていたよ。

とりあえず、寝ることにしたんだよ。1日中寝るって決めたし


でも眠れなかったよ。何かが近づいて来るんだよ(泣


顔を上げると、そいつは立っていた。目の前で


見た目は背は俺よりかは小さい方だった。

男だったら中二

女だったら俺と同じくらい

どっちにしろ、俺の人生終わったよ

殺される。俺はそう思ったね

ありがとう母さん。あなたの作ったクソ不味いチャーハンを私は忘れません。

兄貴に子供が出来た時、そいつに自慢のちくわ入りベーコン マーガリンチャーハンを食わせたら。

12代まで祟ります。さようなら。

今考えると、めちゃくちゃ余裕だったのかな俺




翌日、俺はなんとか生きている。

部屋の隅、まだあの幽霊がいる

朝だから全然怖くねえ。ざまあ!!忌々しい幽霊がざまぁ!!

もう近づくことさえもできた。というかくっきり見えた。

こいつ、本当は幽霊じゃねえんじゃね?と思ったが、

窓ガラスには映ってないので、人間でない事を把握

そんで、また部屋の隅を見ると、居ない

後ろで気配がした

振り向いたらそこに居た

少し怖くなった。ちびった

とりあえず、俺はもったいなかったが、新しいノートを出した。

元々、1日中寝ようとしていたが、眠れなくなったため、こいつの死因とか調べて

傷口をえぐろうとも考えていた

そのノートで会話することに決めた。

どうせ質問しても返って来ないのがオチ

返ってきたらなんかものすごく怖えーしな。

ストレートに行くと呪われる気がしたので、

最初は軽い質問をした。

『あなたは、以前この部屋に住んでいた人ですか?』

俺チキン。情けねえ、だらしねえな

急に、その幽霊が笑顔になった

怖っ!!

なんかものすごく怖っ!!

とりあえず、顔は女だと分かった。多分、俺と同じ年

芸能人て言うと、関根麻里と中川翔子と合体したような感じの顔だった。

髪は当然黒

正直、女芸能人は面白くないから興味はないが

幽霊が、ハイハイしながらこちらに向かった。

俺は、少し驚きながら後ろに下がった

幽霊が鉛筆を持ちやがった

幽霊が見えない人が見たら絶対超能力か何かだと思われそう。

んっ?待てよ。これって売れね!?

そんな事を考えている間に、幽霊は何かを書き終えた

「さみしかった」

「話しかけてくれた」

「もっとお話ししたい」

「いろんなお話をしよう」

うざいと言う事が良く分かった

よし、嫌らしい質問して黙らせよう。

『あなたのスリーサイズを教えてください』

彼女は、間もなく返事を書き始めた

マジかよ

「83cm 55cm 65cm」

マジで書きやがった。このビッチが

「ずっと一緒」

やめろ!!

お前にとっては、ただ単に友達として見てるのかもしれないが、

俺にとってはものすごく怖いんだYO!!



やっぱり怖い

寝よう

転がって、彼女の顔を見るとなんだか悲しそうな顔をしている

その顔をみると、なんだか呪われそうで怖かった。




布団の中に何物かが入ってきた

あの女だとすぐ分かった

体温という物が全く感じられなかった

かといって冷たくも無かった

俺の背中に胸やら足やらをひっつかせ、ぶつぶつ言っていた。

怖っ!!怖いよママん!

だんだん、その声が聞きとれるようになってきた。

やだ怖い、マジ怖い。

そのブツブツは、こう言っていた





「好きな映画は?」

「好きな音楽の種類は?」

「どんなタイプの女の子が好き?」

「あなたの漫画読んでいい?」



くだらねぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!

全て無意識に答えた

幽霊のくすくす笑う声が後ろから聞こえる

いわくつきの物件を探した奴がここに住むとしたら

『詐欺だ!!!』

と怒鳴ってくるくらいその幽霊は幽霊らしくなかった

その幽霊は、俺と同じ年位のはずだが、

かなり無邪気だった。

子供みたいだった。

いつも笑顔で居た

よし、これで無料は安いな。若干



なぜ、若干かと言うと、

風呂に入る時もその幽霊が入ってくるため、

その不満にかんして若干となった。

明日は月曜日だ。

俺は月曜日は嫌いだった。

学校があるからな!!!


しかし、幽霊は目を輝かせている

そういえば、この幽霊の名前を聞いていなかったな。

その事について質問してみると、

「名前は無い」

ふざけんなと思ったが、怒ると間違いなく御釈迦になったこいつの方が強い為

あだなを考えました。

『ミカ』

御札に巻きつけてあったトイレットペーパーを見て思いついた名前である。

適当です。はい。

ミカは、

「カレーが食べたい!」

とほざきやがった

どうやって食うつもりだこの野郎

TOP