私には友達が居ない

妹が一人、そして友達が居ない

完全に孤独と言う訳じゃない

私は周りの人から相手にされている

牛乳を頭から かけられたり なげつけられたり

家に帰ると泣きながら母親に事情を言うのだが、

母親は興味の無さそうに流すだけだった

だから私は、話すのを止めた





ある日、私は校舎裏に呼び出された

呼びだしたのは、苛めっ子グループの複数の人だった

『おい弱音、お前またテストでトップらしいじゃないの?』

そうだ。私は自慢では無いがクラスの中では一番頭が良い

だが、そのせいで皆から反感を買う事になってしまった。

母親も、テストの点があればどうなっても良いと言っていた。

『んじゃあ、ご褒美にぃ。これあげるね』

それは、濃い茶色い液体だった

『少なくともアンタよりは良い物を食べてる私の犬から出てきたものよ』

その液体からは、悪臭が漂う

皆は、その臭いをかがない様に鼻を手で押さえていた

『ほら早く食えよ!!これをここまで持ってくるのにどんだけ苦労したと思ってんだよ!!ああ!?』

皆の表情がどんどん激しい形相になっていた。

私は、泣きそうになった。

ぐずりそうになった。

だが、その時苛めっ子の一人が私の腕をつかんだ

『飲まないなら私が飲ませてあげる。私達の誠意を受けとめないあなたが悪いのよ?』

他の一人は、私の口を手で広げていた。

私は必死に抵抗して口を閉じようと思ったが、その人の力は強く

抵抗すればする程彼の手の力は増していった

そしてついに、手に持っていた茶色い液体は私の口の中に流れ込んだ

『うわー!!汚ねー!!ぎゃははははははははははは!!!』

私は今すぐそれを吐きだし、そのまま嘔吐してしまった

『おい!!こいつ吐きやがったぞ!!』

『きゃぁぁぁぁ!!汚ぁぁぁぁぁい!!』

『ふざけんなよお前!!死ね!!死ね!!死ね!!』

皆は私を踏みつけ、そして私を鈍器で殴っていた

とても痛かった。死にそうだった。

腕と頭と腰のほとんどが痣だらけになり、それら全てがズキズキ痛んだ

他の人はもう誰も居なかった。

もう飽きて帰ったのだ

私は泣いた

どうして私ばかりこんな目に会うんだろう。

褒められる為に勉強したのに

一生懸命がんばってるのに

私は、苛めっ子に傷つけられて不気味にまでボロボロのランドセルを背負った。

ランドセルからは、焦げくさい臭いが漂っている。

帰り道、この虚しい日を思い出して私は

涙が自然に流れ出す

これが私の毎日だった









家に帰ると痣の事で母親に怒られるので公園に向かう事にした。

その公園は、私が小さい頃よくお母さんと一緒に遊んだ所だった。

でも、その時も私の周りには友達が居なかった。

公園のベンチに座って、私は一人俯いた

思い出したくない彼らの虐め

私は手で顔を押さえ、必死にそれらを振り払おうとした

公園を見ると、そこには青い髪の男の子が友達と遊んでいた

私もあの中に入れたらなぁ。

そう思うと虚しくなり、また涙がでそうになったので

やっぱり家に帰る事にした。

『お姉ちゃん?』

後ろから男の子の声がした。

私は、急に心拍が上がってしまい、返事をする勇気も出せず、

家まで一直線に帰ってしまった。






次の日、授業開始2分前

私は落書きだらけの机に座り、ノートと教科書を出した

後ろで苛めっ子がくすくす笑っていた

先生が来たので私はノートを開くことにした。

『はい、それでは教科書の53ページを開いてー』

先生がそう言うと、私は教科書を開いた。

そこには、印刷された文字が全てマジックペンで塗りつぶされていた




『はい、弱音ー。お前読め』

先生がそう言うと、私は黙り込んでしまった

『おいどうした?早く読め』

私は、首を横に振る事しかできなかった。

先生は舌打ちし、仕方なく他の子に指名した。

先生は、本当に何も言わず

私の方も見ずに注意もせずに

私をほっとくように授業を進めていった。







下校、

私はまた公園に来てしまった。

私はもうすぐで小学校を卒業する

中学校になったらまた友達ができるかな?

できないかな?

無駄な期待だと理解し、私はただ涙を流した

その時、目の前から声がした

『大丈夫?』

そこには、昨日の小学校低学年程の年齢の小さな男の子が立っていた。

その男の子は、青い髪に青い目

そして青いマフラーをしていた。

その男の子は、全体的に優しい雰囲気をだしていて

それは私も包み込んでくれるかのようだった

『大丈夫?お姉ちゃん?』

思えば、私の事を心配してくれる人なんて人生でこの男の子しか居なかった

私は、今日初めて心配されていた

それが嬉しくて私は涙が流れた

『どうして泣いてるの?』

私は、無理にでも嬉しい表情をしてこの子を安心させた。

しかし、私は心底うれしかったので笑顔を表現するには難しくなかった

『お腹空いてるの?僕アイス持ってるからあげるよ。』

男の子は、ランドセルの中にあったアイスボックスの中にあるアイスを手に取り、

私にくれた。

『泣かないで。僕、なんでもするから泣かないで』

私は、またいつの間にか泣いていた

笑顔になろうとがんばっていたのに。

この子は優しかった。

誰よりも優しかった。

でも、明らかに私より年下だ。

年下だけど、私は誰かにすがりたくて、

その子を抱きついてしまった。

『お姉ちゃん?』

その子は純粋そうな顔で

純粋な心で

純粋な声で私を包み込んでくれていた

しかし、私は何をやっているのか、と自分で気づいた時

私は急いでこの子から手を離した

ごめんね

と小声で謝罪すると、男の子は笑顔で返事をした

『どうして謝るの?』

それは、汚れていないセリフでの言葉だった。

『お姉ちゃん。一緒に遊ぼうよ。』

男の子はそう言って、私の肩に乗った

『肩車ー。肩車ー。』

男の子ははしゃぎながら、私の肩で唄を歌いだした。

その唄は、優しい歌声で 優しいリズムで 優しい歌詞だった。

私は、彼の遊び相手になるように必死に肩車をして歩き回った。

私が歩けば歩くほど、男の子は楽しそうに笑った

ベンチの近くに行くと、男の子は私の肩から降りて

ありがとう!!   と笑顔で感謝を述べた

男の子は私ランドセルを持って、私に渡してくれた。

男の子は最後まで笑顔で、私を見ていた

『僕たち、友達になろうよ!』

男の子は、私に確かにそう言った

友達

私にとって初めての友達だった。

友達

友達

私は嬉しくなった。

でも、信じられないと言う方が勝っていた為か、涙がたくさん流れてきた

『自己紹介するね!!僕の名前はカイトって言うんだ!!よろしくね!!』

カイトは元気に嬉しそうに自己紹介をした。

私も、  私の名前は弱音ハク    と自己紹介した。

男の子は、笑顔で私の

『ハクちゃん!!バイバーイ!!』

私は、涙をカイトに見せない様に

後ろ姿で手を振った







家に帰ると、私の顔は笑顔になっていたそうだ。

妹から

『何があったの?キモイ』

と言われたが、全く気にならなかった

私は今日、初めての友達ができたのだ。

ベッドに入ると、抱き枕をカイトと思いながら

ギュッと抱きしめて、眠った







数日後、私はまた学校に行かなくちゃいけない。

あれ以来毎日、カイトと公園で一緒に遊んでいる

彼と遊ぶ時が一番楽しかった

学校に行くと、いきなり苛めっ子の人達から蹴りを入れられた

どうやら、私は登校中嬉しそうなのが生意気だったかららしい。

だが、今日はトイレに入れられて上から水をかけられただけで済んだ。

それ以上の虐めは、今日はしなかったからだ。








びしょびしょの体をしながら私は、昨日の公園に向かった

そこにカイトはちゃんと居た。

隣には緑色の髪の毛の女の子が居た、

『あっ!ハクちゃんこんにちは!!』

カイトは私に元気よく挨拶をしてくれた

だが、緑色の髪の子は警戒してるのか、全く私に近づこうとせず

カイトの後ろに隠れていた

『ハクちゃん!今日は3人で一緒に遊ぼうよ!!』

カイトは目を輝かせながらそう言った。

だが、緑色の髪の子はまだ私を警戒するような目で見て

カイトを引きずってどこか走って行った

『ミク!?ちょっとミク!?』

カイトはいきなりの事で動揺しながらも、そのミクという女の子の手を離さず

走ってついてきていた。




そうだ。私はカイトとは友達なのだ。

だけど、ミクとカイトと手を繋いでいる姿を見て

私の中のどこかが少し痛んだ








家に帰ると、私は”ただいま”の言葉も声に出せなくて

無言のまま自分の部屋に入ってしまった。

どうしてだろうか。今日のカイトとミクを見てから

ずっと私の中のどこかが痛んだままだ

だが、私もカイトとは手をつないだ事がある

柔らかく、そして暖かい手だ

常に冷たい手をしている私にとっては、羨ましいくらいだった。

カイトの手

私はカイトの手を握って遊んだ事を思い出していた

私は、カイトの顔を思い出すたび、私の中の何かがキュンキュン痛んだ

そして思いだすたび、

私はいつのまにか自分の股間に手を動かしていた。















そして4年後

私は高校生くらいになった時だ。

カイトはもう中学生になっていた。

中学生になってからも私達はずっと友達で

あの日を境に、私はカイトを思い出しては自慰行為を繰り返していた。

中学生になったカイトは、私の身長も越してしまって

私よりも大人びた雰囲気をだしていた。

だが、純粋なのは相変わらずだった。

彼は誰にでも優しかった。

動物も、彼にならなんでも懐いていた

私は、カイトと一緒に遊んでいる仲なのに

ずっと遠くに行ってしまっている気がしてたまらなかった

ミクは、カイトの妹は

ずっとカイトにつきっきりで

いつもベタベタしていた。

仲が良い兄弟で羨ましかった。

私も、ミクちゃんくらいカイトと距離が近かったら

私はそう思いながら

彼の登校と一緒に登校して学校に向かった。

私は、高校生になってもカイトしか友達が居なかったのだ。

だから私は、カイトから未だに遊びの誘いが来る事は嬉しかった。

だが、彼はまだ携帯電話を持っていないので、

メールのやりとりが出来ない事はとても寂しかった。

一度、私のメールアドレスを教えたのだが、もう忘れているのかもしれない。

カイトは、私にも笑顔をくれる。

私は、カイトを異性として好きになっている事を自覚している

私が中学に上がってから気付いた事だったけど

私の心の中にはずっと彼が居た

カイトがずっと私の傍に居てくれたから

私はずっとここまで生きてきた

彼が居なかったら、私はもう自殺していたかもしれない。












そして高校を卒業し、私は20歳になった。

私は未だに、友達はカイトしか居ない

17歳になったカイトは、さらに身長が伸びていて

でも、まだ純粋さは残っていた。

私のカバンの中には、ずっとカイト宛の手紙が入っていた。

4年も前に書いた手紙を、私は肌身離さず持っていた。

ずっと渡せずに居て、結局渡せずに帰ってしまって

渡しても居ないのに、私はカイト宛の手紙の見直しをしたりした。



私の誕生日の日、私は仕事に出かけた

今日は唄の収録日だったのだ。

普段はめったに仕事の無い私だが、こう言う日に限って私はいつも仕事が来てしまう。

カイトはいつも通りずっと仕事詰めらしい。

妹のミクちゃんと話をして笑ったり、慰めたり

他のファンの女性からプレゼントを貰ったりしていた。

彼はもうそんなに大きくなったのだ。

いつの間にか私からどんどん離れていた。

だが、これは喜ばしい事だ。

私の大好きな人が、どんどん幸せになっていく

これはとっても嬉しい事だった。

とっても嬉しい事     なのに


私はなぜか笑顔になれなかった。

涙さえも流していた。

私は、そんなカイトを遠くから見ることしかできず、

私の視界から消えてしまえば、私はその場から去ってしまう。

最近は、滅多に話をすることもなくなってしまった。

遊ぶ余裕が無くなったから。

それは当然のことなのに…………。

私は、唄の収録の場所にたどり着いた。

その唄の収録という所は   最悪だった。

卑猥な歌詞を出され、唄も涙が出る程酷かったのだ。

カイトは、今の私を見てどう言うのだろうか。

もう話を聞いてくれないかもしれない。

そう思うと、私は悲しくなり泣きそうになった。

だが、今は仕事中なので必死にこらえた

仕事が終わると、私はトボトボと家に帰ることにした

携帯の待ちうけを見ると、もう7時になっていた。

しかし、妙な違和感を感じた。

私の壁紙は灰色のはずなのに、いつのまにか赤色になっているのだ。

誰かにやられたのだろうか。そう疑問に感じているとき

後ろから声が聞こえた


『よお』

それは、昔私を虐めていたグループだった。

女も男も、みんな

居ない人もいたが、全員私を虐めていたグループだった

『おい弱音ぇ。実は俺達可哀想になってんのよぉ。』

男の方が軽い雰囲気で私に話しかけてきた

もう一人が、私の背後に付きながら話しかけてきた

『そうそう。俺達実は合コンで良い女が居なくてさー。帰らすのに手こずっちまったのよ』

すると、男は薄気味悪い笑みを浮かべながらポケットから光る物を出して来た

『だからよぉ………犯らせろよ』


急に男の方が私に突進してきた。

私はその男の人の突進を避け、誰も居ない所に逃げ込んだ

『待て!!待ちやがれ!!!』

男は鬼のような表情で私を追いかけてきていた。

細い路地裏を通り、曲がりくねった道も走り抜け男の人からの距離を広げたつもりだったが。

男の足はとても速く、距離はどんどん縮んでいくばかりだった

嫌だ!捕まりたくない!!

私には好きな人が居る。

私はその好きな人と一緒に居たい

一緒に居たいだけなのに

もうすぐで自分の家に着くはずだった。

この道を抜けて、次のコンビニを抜ければすぐにはずだ。

でも、道を抜ける前に私は肩を掴まれた

ひぃ!!

私は小さな悲鳴を上げながら、後ろを振り向いた

『逃げんじゃねえよ…………』

男はそう言いながら、私の方に近づいて行った。

私の下あごがガクガクと震えていた。

だが、男の距離は次第に縮まっていった。

嫌だ!!

心の中でそう思った。

嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ

12回目で、後ろからまた声がした

『ハクちゃん?』

その声は、

青い髪と青い目と青いマフラーを首にかけていた

私の一番大好きな人だった

『ああ?なんだてめーは』

男は、カイトを睨みつけて脅す様に言った

私は、カイトの肩にしがみついた

『止めてよ……嫌がってるじゃないか………。』

カイトは、悲しそうな声で男たちにそう言った。

すると、男たちは笑ってカイトを馬鹿にした

『はは!!止めてよ………だってさ!!ぶあははははは!!!』

男が笑いだすと、次に後ろから車が来た。

その車から、私を虐めていたグループの女達が降りてきた

女たちが私を見た瞬間、目を見開いて見ていた


『嘘…………なんでカイトがあんたなんかに…………?』

女の見開いた目は、次第に真っ赤になっていき、

わなわなと震えながら私に指を刺した

『絶交しなさいよ!!』

女はそう叫んだ

『今すぐあんたカイトと絶交しなさいよ!!』

その言葉はあまりにも酷過ぎて、とても人間が発してるとは思えなかった

だが、カイトは反論して答えた

『絶交しないよ!!ハクちゃんは大切な親友だよ!!』

私はカイトの言葉を疑った

親友

カイトは私の事を親友と言ってくれたのだ。

その言葉を聞いた女たちは、溜息をついて男たちに命令した

『あっ。駄目だわこりゃ。駄目駄目、殺せ』

女たちは、急に眼を見開き答えた

『とっとと弱音ハ糞をぶっ殺せ!!!』

その後、女はさらに言葉を付け加えた

『お前がカイトを汚してんだよ!!カイトに死んで詫びろやボケがぁ!!!』

女がそう言うと、男も私に向かって走ってきた。

すると、カイトは私の手を握って走っていった。

逃げているのだ。彼らから

カイトは、私の手をつないで、逃げて、逃げて、逃げていた

だけど、神様は残酷だ

逃げてたどり着いた場所は、行き止まりだった

当然、男たちは私達の前で止まった

『よぉ。カイト君。お前さ、初音ミクってさぁ。お前のせいで唄が集中できねえみてえだよ?』

男たちは、今度はカイトに攻撃していた。

『そうそう。初音ミクってお前の事が嫌いなんだよ。うざいからとっとと消えてくれってさ』

男たちはそう言うと、笑って膝から崩れ落ちた。

カイトは、散々言われながらも顔色変えずに前を見つめていた

『そうか。ミクも兄離れできるようになってくれたんだね。』

カイトはそう言いながら笑顔で彼らに返事をした

だが、それが気に入らなかったのか、男は苦々しそうな顔でカイトを見つめた

『うぜえんだよ!!このマフラー男がぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!』

男たちは、私達の所まで走ってきた。

カイトは私を抱きしめ、私の盾になってくれていた

それでも男たちは構わず、カイトを殴りつけていた

『だいたいてめえさぁ!!ムカつくんだよ!!声もダミダミだしよおぉぉぉぉ!!!』

彼らが殴れば殴るほど、カイトは私を強く抱きしめていた

『正直ミクとデュエットしてる時さぁ!!これは無いわーって思ったもん!!死ねよお前!!邪魔なんだよ!!』

カイトは、全く顔色一つあげていない

『何やってんだよゴルァ!!とっとと命乞いしろ!!かっこ悪い姿になれよぉぉぉ!!!』

『あああああああああ!!ムカつく!!叫べ!!悲鳴を上げろ!!ああああああああ!!!!』

男はさらにカイトを強く殴りつけていた。

もういいよカイト。

私、お姉ちゃんだから。あなたよりも年は上だから。

私、殴られてるの慣れてるから。

だから………もういいよ…………。

『カイトー!!とっとと初音ミクから出てけ!!いやボカロから出てけ!!』

私は涙が流れていた。

ずっと私を守っていたのだ。

出会ったときからずっと、カイトはずっと

私を守ってくれていた。

彼が居なかったら私は

私はもう野たれ死んでいた

でも、彼が居たから。私はこうして生きていられるのだ。

結局私は何もしていないじゃないか。

私は、自分の手をカイトの背中にまわした。

抱きしめたかったのだ。

今のカイトを。ずっと   ずっと


その時、急な打撃音と共に叩くのが止んだ

そこには、ミクちゃんが私達の目の前に立っていた。

私は着地する寸前から見たので、あの不良達を蹴り倒した事が良く分かった。

男たちは、初音ミクを見て少しうれしそうだが、

何か不穏な表情をしていた。

ミクちゃんは、怒りの声を出して男を怒鳴りつけた

『お兄ちゃんを傷つけたあんた達なんか!!大嫌い!!!!』

そう言った後、そこには沈黙が続いた。

その後、男は急に大声を上げて鈍器を持ってこっちに近づいてきた。

ミクちゃんを通り過ぎて、私達の所へ

『お前のせいだ!!死ねやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!』

その後、ミクちゃんはまた飛んで男の頭を蹴り壁にぶつかって

男は失神してしまった。

ミクちゃんが着地した瞬間、男はミクちゃんの首を腕で掴んで

ミクちゃんをナイフで脅しつけた

『おいおい初音ミクちゃん、大嫌いなんか言うなよ、俺は大好きだぜぇ。何より美味そうだしなぁ。』

そう言った後、男はミクの服に手をかけ、まくり上げようとした。

ミクは悲鳴を上げて、それに反応したかのようにカイトは男に近づき、

男の忠告も聞かぬまま、男を殴ってブッ飛ばしてしまった。










私は警察を呼んで、彼ら男達と女達を拘束してもらった。

これで私達にはもう害をださないだろうか。

ミクちゃんは、カイトと腕を組んで嬉しそうな笑顔をしていた。

その後ろ姿はまるで恋人のようだった。

私は、ここではのけものだと気付いた。

ごめんなさい。カイト

私は謝罪の言葉を言いながら、その場を去ろうとした。

でも、

『待ってハクちゃん!』

後ろからカイトが、声を上げて私を呼びとめた

私は後ろを振り向くと、カイトが持っていたカバンから何か小包が出てきた

それは、誕生日用に塗装されていた箱だった。

今日の私の誕生日を

カイトは祝ってくれた。

毎年、毎年。

そのプレゼントの包みの上から、雫が落ちている事に気付いた

『ハクちゃん、どうしたの?もしかして気に入らなかったの?』

私は、プレゼントを強く抱きしめて、誰にも渡すもんかと必死に抱きしめていた

私は感激のあまり泣いてしまっていたのだ。

私はカイトに何もしていないのに

私は何もしてあげられていないのに。

でも、誕生日にあなたからプレゼントを貰う事は

世界で一番嬉しい事だった

ミクちゃんは、私からのプレゼントを見て少し羨ましそうに、少し嫉妬そうな顔をして私を見ていた。

その後、ミクはカイトの方に向きなおし、再び腕を組み家に向かって行った。








そういえば、カイトとは久しぶりに手をつないだ。

久しぶりの彼の手は、前よりも優しい心がこめられていた






4年前の手紙

私はずっと出せずにここに居る。

次のカイトの誕生日には、渡したいと思っていた。

でも、今読みなおすと恥ずかしくて

言葉には絶対に出せなかった。




カイトから貰ったバースデープレゼント

箱の紙を破かない様に一枚一枚丁寧に剥がしていくと、

中には手編みのマフラーが入っていた。

男性が作ったとは思えないほど、丁寧で綺麗だった。

でも、あきらかに手編みと分かるプレゼントだった。

早速私はそのマフラーを首にかけた。

彼のプレゼントは優しい温かみがあって、優しい臭いがした。


その時に、私の携帯からメールが届いた。

その中を見て見ると、

カイトからのメールだった。

カイトは覚えていたのだ。私のメールアドレスを。

私はそのメールを読んでみた。

それはただ携帯を買ったというだけの内容だったが、

私は満足だった。





私は一つ決心をした。



喜んでくれるか分かんないけれども、

あなたの誕生日は、私の想いが沢山入っている手紙をプレゼントします。

ずっとずっと、渡せなかった手紙を

だからそれまで、ずっと親友