イベントがあるその舞台から、急に謎の肌色の少女が登場したのだ。
服を着ていないから分からないが、多分秋姉妹なのだろうか。
そこで秋姉妹はマイクを取り、皆にこう言った
『霖之助ぇー!!霖之助はおらぬかー!!』
当然、僕は彼女らとは面識はないはずだった。
だが、彼女らは間違いなく僕を探していた
村の住民は、一体何事かとざわめきを隠しきれずにいた
『そこかぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!』
一番後ろに居たのが悪かったのか、運悪く見つかってしまった。
二人は紅葉を巨大化させ、それに乗りサーフィンのように使いこなしていた。
それがなかなか早かったので、僕も危ういと感じた。
僕は必死に走った。
とにかくとにかく必死に走った。
路地裏に回った所、なんとか撒いた事ができたようだ。
『あら、香霖堂の店主さん。』
隣には、なぜかあの紅魔館のメイドが居た
『こんな所で何をしているのですか?』
『君こそこんな所で何をしているのだ。』
良かった。彼女は大丈夫のようだ。
すると彼女は、僕の服にしがみつき
『私は今ちょうど、香霖堂に向かう所だったのですが。』
なんと、今日は珍しく僕の店に客が来るはずだった。
こんな事が無ければ大歓迎だったのだが…………
『今は無理だ。後でご要望を届けるよ。で、何を買うつもりだったんだい?』
するとメイドは服を脱ぎ、肩を露出した所で
『店主の精子』
僕は、大丈夫じゃないと悟った時に、路地裏から表に出た。
だが、目の前にはまたメイドがいた。
時間を止めたのだろう。僕を下にして、彼女は僕の上に座って服を脱がそうとしていた。
気絶させれば時を止められないだろう。
幸い僕の服は、脱がせるのにはかなりの時間がかかる
僕は、服の中にあった衝撃を発する道具を出し、メイドをブッ飛ばした
頭の真ん中を狙った為、気絶は免れなかった。
一応彼女は、大事な客なので死んでいなければいいが、僕はそう思い走っていった。
『居たあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!』
後ろには、肌色の秋姉妹と
山から、僕の店から追いかけてきている少女が追いかけて来ていた。
いや、追いついて来たのだ
僕は必死になり、とにかく走りまくった。
路地裏に行けば、走りにくい為追いかけづらくなるだろう。
そう思った僕は路地裏に行き、こけずによろけずに走っていった。
だが彼女らは、浮いている者も居れば、物を踏みつぶし平地を走るように走っている人も居た。
もう駄目だ!!そう思っているときに僕は誰かに引っ張られた
そして僕は室内に連れていかれた
外では少女達が僕の名前を呼んで動きまわっている。
僕は、引っ張った主の顔を見ようと振り返った。
それは、見覚えのある顔だった。
『よぉ霖之助、来ると思ってたぜ。』
『霧雨の親父さん………。』
それともう一人居た。
その人は、あの刀を使う少女と思わせるような服を着ていた。だが彼はもう老体だった。
だがその老体は、全く年を思わせないような気配、勝機を帯びていた。
『ふむ。今日に限ってこの幻想郷の気がおかしいと感じて来てみれば、まさかこんな事になっていたとは』
老体は悲しそうに顔に手をあて溜息をついた。
『あの………あなたも?』
だが、親父さんと老体は何も答えなかった
『一体どうしちまったんだろうな………』
親父さんも悲しそうに顔を伏せた
『とにかく霖之助、気を付けろよ。特に魔理沙に犯られたらぶっ殺すぞ』
『大丈夫ですよ。全力で逃げますから。特にあなたの娘さんからは』
『なんだぁ?俺の娘が可愛くねえってのか?あん?』
言っている事がほとんど矛盾していたため、僕は目を伏せてしまった。
すると親父さんは、愉快そうに笑った。
『まぁ霖之助、お前さんはまだ若い。このおかしくなった少女達の為にも自分の童貞を守る事だぜ。
いつのまにか喪失していたなんて悲しすぎるからな。』
僕はその事も考えていた、だが一番考えていたのは自分の安否だ
『まぁ、とにかく狙われているのが俺たちじゃなくてよかったよなー。』
ん?今この人はなんて言った?
『いやー。いきなり少女が”霖之助はどこに居ますか!!”って言って来た時はビックリしたなぁ。』
『はっはっは。わしにはもう愛する妻が存じますからな。幸運だったのぉ。』
僕は全身冷や汗で彼らに質問をした
『あの…………あなた達は狙われていあいのですか?』
『何言ってんだ?狙われえているのはお前だけだぞ?』
全身から血の気が引いた
『どうして僕なんですか!?幻想郷にも男の人はごまんと居るでしょう!!どうして!?
というよりもどうしてあなた達は僕だけが狙われているって知ってるんですか!!』
『だから聞いて来たんだよ。”霖之助はどこだ”って。10人くらい』
『わしの所には15人くらいじゃの。』
二人は軽々と話していた
僕は落ち込んだ。
ものすごく落ち込んだ。
『だが喜べ霖之助、良い知らせを知ったんだ。』
霧雨の親父さんは神父のような顔で言った。
『ついさっき医者に聞いたんだけどよ、あっもちろん男のだぜ。』
医者がどう言ったというのだ。霧雨の親父さんは説明を続けた
『これは新たなウイルスか何からしい。ただ、これは弱い物なので男には感染しない。
女性の感染力こそ強いが、1日たらずで治っちまうらしい。』
1日
その言葉だけで少し救われた気がした。
『まぁ俺たちはどうしようもできないけどな。一時的な物だし、お前も大丈夫だよな!』
だが、一つだけ疑問があった。
『一体誰がこんなウイルスをばらまいたのですか?』
『済まぬが、それはわしらでも存じないのだよ。』
『ごめんな霖之助。』
二人が謝った瞬間、ドアからものすごい打撃音が聞こえた。
ついにばれてしまったのだ。霖之助の居場所が
『おい霖之助!!お前はこれからどうする!?』
さすがに、二人を巻き込む訳にはいかなかった。
ただ、二人は狙われていないので大丈夫なのだろうが、
『とにかく逃げます。霧雨さん、それと…………』
『申し遅れた。わしの名は妖忌と申す。』
『妖忌さん。どうかご無事で達者で居てください。』
『こっちのセリフだ馬鹿野郎。』
親父さんはがんばれよと僕の肩に手をやり、微笑みをくれた
僕は、この倉庫の中にある道具をありったけ持ち合わせた。
大きな窓があったため、幸い窓の向こうには彼女たちは居なかったから。僕は窓の方に向かった。
いつの間にか二人は居なかった。
逃げたのだろう。薄情者だ。
僕は窓に足をかけ、道具を服の中に隠し
窓から身を投げた。
その瞬間、肌色の烏天狗に連れ去られてしまった